2018年08月02日
2018年07月22日
劇団四季の方法論
「折れ」と「母音」はワンセット
劇団四季というと必ず付いて回るのが、その独特の物言い。
いわゆる“母音法”と呼ばれるもので、やたらと大きな口を開けて「アイウエオイウエオアウエオアイ…」とやる開口発声から始まって、台詞を母音だけで喋ることで「台本にある台詞を一つ残さず観客の耳に届ける」というトレーニング方法。
「見える」「聞こえる」芝居の基本
ただし、これにもちゃんと理由があって、まずは情報としての台詞を聞こえるようにするということ。と同時にその登場人物の情念を伝える=聴こえるようにすることとワンセットなのだということが実はとっても重要なはず。
同様に、物理的に「観える(視える)」ことと、その登場人物の情念が「見える」こと。
その「見える」「聞こえる」のダブル・ミーニングを両立させてこそ、方法論は用いられた目的を果たすことができるわけで。
そこのところが(まるでバスの中の伝言ゲームのように)伝わっていなかったりすることが誤解や混乱を招く原因(と結果)になってるのだと思う。
台本を手にしたらまず最初にやるべきこと
「ノートに台本の台詞を、句読点を全部取っ払って書き写し、その横に母音を書き出す。」
これが「見える」「聞こえる」芝居の基本を体現するために最初にやるべきことだと教わった。
ただ、後で知ったことだが、これは何も劇団四季の専売特許ではなく、スタニスラフスキーからアクター・スタジオに繋がる流れの中に、方法論として存在するのだ。
ボクは劇団に入るまで、アカデミックに演劇を学んだ経験がなかったので、劇団に入ってから、こうした演技に関する本を読むことで、そのハンディを埋めようとしていた。
この他にも、「ははぁ、劇団で言われたあれは、このことなのだな。」と合点がいくことがいくつもあった。(この本の中でも、またこれ以外の本でも)
そうした発見をすることで、演技に関する方法論というものが、自分の腑に落ちる瞬間があり、発声の方法論との共通点も(自分なりにだけど)見つけ出すことがあった。
なんのためのメソッドか
発声のワークショップをやる時によく冒頭で話すことがあるんだけど、あるメソッドによるトレーニングの目的は、それをやろうとする人の置かれてる状況にもよる。
アマチュアの「上手になるためのトレーニング」とプロの「提供するパフォーマンスのレベルを下げない」「提供するパフォーマンスの最低レベルを更に引き上げる」ためのトレーニングでは、要求されるものが自ずから違ってくる。
不世出の名ダンサー、フレッド・アステアの言葉に、
「二流はいいが、三流にはなるな。」
ってのがある。
「二流は一流を目指してる人だが、三流は現状に甘んじてる人だ。」
って意味らしい。
要は、
・本人が自分の現在地が分かった上で
・なんのためにその方法論(メソッド)に取り組んでいるか
を理解できていないと、本来手段であるはずの方法論が、いつの間にか目的にすり替わってしまうということだと思う。
テレビドラマを中心とした映像の“ナチュラルな演技”に取り囲まれた学生諸君が、「舞台での演技」というものに取り組む上での基本的なマインドセットができてきいないのも当然と言えば当然なのだと思う。
そんなことを考えながら、かつて自分が藁にもすがる思いでラインマーカー引いていた本を本当に久しぶりに開いてみたりする今日この頃…。
2018年07月09日
サニー・レタスのおもひで
「葉物野菜は包丁で切ると細胞が潰される(?)から、手でちぎった方が美味しく食べられる。」と、何かで読んで以来、サラダを作る時のサニー・レタスは手でちぎるようにしている。
そして、サニー・レタスを手でちぎる度に蘇るおもひでがある。
それは、とあるミュージカル作品の旅公演先で共演者が作ってくれた、ボウル一杯のサニー・レタスのサラダだ。
その人もサニー・レタスを「これでもか」というくらい、豪快に手でちぎっていたのをよく覚えている。
劇団時代も、旅公演先で共演者が手料理を差し入れてくれてご馳走になったことはあったけれど、その多くはどちらかといえばご年配の女性だった気がする。
でも、今回のおもひでに出てくるサニー・レタス・サラダの調理者は男性だった。
そして、それをご馳走になる方も野郎ばかりだった。
そりゃそうだ、なにしろあの頃俺たちは海賊だったんだから…。
あの時、サラダを豪快にちぎってもてなしてくれたのはスミー兄貴だった。
チェッコ、スターキー、ヌードラ…海賊のくせにみんな気の良い連中だった。
フック船長も、たまに頼りないところはあったけど、憎めない人でもあった。
スミー兄貴、おいら今でもサニー・レタスちぎる度に兄貴が食わせてくれたサラダを思い出しますぜ。
最近、久しぶりにヌードラの奴と会いました。奴ぁ、今じゃ南の島で悠々自適らしいですぜ。
チェッコやスターキーはどうしてるんでしょうね…。